2011-08-18

ヘビーローテーション

      
「また物騒なところから名前持ってきたもんだなあ」と思ったのが
今や国民的アイドルとなったあのグループを初めて知ったときの感想。
『秋葉原』が語源とはつゆ知らず、当然の如く
旧ソ連の自動小銃『AK47』を連想してしまったわけですが、
今年の春ごろ「カチューシャ」なんて曲を耳にするに至って
個人的にやはりこれは確信犯であると認定。
カチューシャといえば
同じく旧ソ連軍の多連装ロケット砲のことじゃないですか(注1)。
      
実際、彼女たちのファンの中には
「アーカーべー」と発音する人もいるとかいないとか。
このあたりのオタク心をくすぐる小技までいちいち憎い。
いやはや、恐るべし。
      
おっと、べつに彼女たちのことが書きたいわけじゃありません。
わたし自身はキョンキョン以来時間がピタリと止まってしまった、
もはやアイドル不感症のおじさん。
語る資格もございません。
      
さてさて、ようやく本題。
ヘビーローテーションのはなしです。
      
それにしても連日暑い暑い日が続きます。
なんでも猛暑といわれた去年をも上回る暑さとか。
いくら夏は嫌いじゃないといっても
ただでさえ脂っこいものが苦手なお年頃。
さすがにのどを通るものも限られてきます。
      
そんな今の季節、わが家のヘビーローテーションは
ずばり素麺。
      
前振りが長かったわりにはおそろしく平凡な展開じゃねーか
とつっこんだあなた。
その平凡の中にこそ、凄みがあるというものですぞ。
      
子供の頃は「ええ〜? またソーメン〜」と
いつも母親にブータレたものでしたが、
この年齢になってつくづく感じる素麺のすばらしさ。
さらに作る側にまわってからは、よりいっそうその良さを実感します。
      
なんといってもうれしいのがゆで時間の圧倒的な短さ!
キッチンで汗だくにならずにすむのが本当にありがたい。
じつはこんなに料理人に優しい料理だったなんて
そりゃ、子供にゃわからんよなー。
      
しかもオール電化のご家庭なら電気代節約、
そうじゃないわが家でもキッチンが暑くならないから
エアコンの設定温度は高めでOK。
なんという省エネ料理。
東京電力は素麺に感謝すべし。
      
昔の人はこんな時代を予見していたのでしょうか。
いえいえ、今の時代が
昔のライフスタイルを必要としているでしょう。
子供の頃は平凡で飽き飽きしてたものが
今その価値を発揮する。
そんなものが他にもあるかもしれません。
      
もちろん、食べてもおいしい素麺。
さっぱりと食べたいときはさっぱりと。
食べ応えが欲しいときにはそれなりのアレンジも可能。
いろんな食べ方ができるので飽きません。
      
↓ 正統派から…













                              
↓ トマト素麺…

















                              
↓ ジャージャー麺風まで…

















                              
今日も素麺すすって先達の英知に感謝。
こんな時代だけど
日本人でよかったと思える数少ない瞬間ですな。
      
そしてじつはもう一つある
この夏のヘビーローテション。
      
こちらは英国の生んだ(ある意味)奇跡。
Yesの今年6月に出た新譜「Fly from Here」。

















                              
結成以来42年の長きに亘りプロレスのアングルの如く
離合集散内紛分裂加入脱退を繰り返し、
それでもなお不屈の精神でバンドを存続させる彼ら。
その名通りのポジティブ・シンキングの賜か。
今度はなんとジョン・アンダーソン不在&バグルズ組復帰で
「Drama」Yesの再現です。
なんというサービス精神!
Yes! We Can! はい!よろこんで!
       
というわけで
「Drama」信者でアンダーソン不要論者のわたしのようなファンを
ピンポイントでねらい打つ今回のアルバム。
断言しましょう。良いです!
      
90年代後半以降のここ数作は、
比較的アンダーソンの歌を中心にした楽曲が多く
どうも平板で印象の薄いものでした。
しかし今回は一転。
組曲形式の曲を核に据え、
アルバム全体を起伏のあるドラマチックな演出で聴かせます。
なんといっても、“「Drama」でやり残したことを成し遂げる”
という明確な目標があるので迷いがありません。
全盛期と同等、とまではいえませんが
過剰なアレンジや、スティーブ・ハウのギターも
“らしさ”が戻ってきました
(そう、今回は久々にハウが元気。
泣きのスティールギターに滂沱)。
      
確かにこの手法、今の耳で聴くには
アレンジはクサく音色は陳腐かもしれません。
それでも、これでもかと盛り上げ、音をぶち込み、
唯我独尊のリズム感で突っ走る。
これでこそYes。
      
洗練された歌ものなど誰も望んじゃいないのだ。
      
ちなみに今回ボーカルを務めるのは
“Journey Method”(注2)でひっぱってきた無名の新人
ベノワ・ディヴィッド。
でもJourneyの彼はクリソツでしたが
ベノワは驚くほど似てません。
      
曲調もトレバー・ホーン&ジェフ・ダウンズ組の書いたものなど
YesというよりどうしてもBugglesっぽい瞬間が
ちらちらと顔を覗かせます。
      
しかしそんなことは問題になりますまい。
Yesらしい熱い演奏があればそれはYes。
      
もうこのところ2ヵ月近く、休日ともなれば
まさにヘビーローテーション。
      
防音のため閉めきった部屋の中、
暑苦しい演奏にアンプの温度もぐんぐん上昇。
      
そしてもちろん、そんな時こそ食す素麺。
う〜んうまい!
      
日本人でよかった。プログレ者でよかった。
      
……結局、いつの間にかエアコンフル稼働。
先達のライフスタイルにはほど遠いわ……
      
      
      
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(注1)カチューシャ
わたしらぐらいの年代ならプラモでおなじみですね。
でも、なんてことないトラックの荷台に
発射台を載っけただけのその姿は
およそ子供の購買意欲を刺激するにはほど遠く、
模型屋の片隅にいつまでも売れ残っていましたが。
ただその箱の隅で燦然と輝く
Italeriのロゴがやけに眩しかったものです。
      
(注2)“Journey Method”
仲違いしたメンバーの代役をYouTubeで発掘、登用する手法。
Journeyが看板ボーカリストの代わりとして
無名のそっくりさんを抜擢して話題になったことから
わたしが勝手に命名。
しかしJourneyの場合そのあまりの激似ぶりに
過去を引きずりすぎとの批判も……
      
ちなみに、今回のアルバムに収録されている組曲は
「Drama」時代の没曲を発展させたもの。
そりゃあ昔の雰囲気も出るわけです。
セルフ・カバーは誰でもやってるけど、
過去のアイデアを出発点にアルバムまるまる1枚
作っちゃったってのは他に例がないのでは?
こちらはいわば“Yes Method”。
手っ取り早く全盛期のファンにもアピール!
今後安易に乱用されそうな予感……(曲が良ければ許すけど)
じつはパンドラの箱だった?
      
      
      
      

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