2011-08-31

タジンの関係

      
      
今さら言うまでもないと思いますが、
わが家の辞書に流行という文字はありません。
      
事例その1:地デジの対応は7月に入ってからだった
(これは流行じゃないか)。
      
事例その2:Blu-ray Discレコーダーは持ってないが
カセットデッキとVHSデッキはまだ現役だ。
      
事例その3:いまだに3D映画を観たことがない。
      
事例その4:もちろん二人とも携帯はスマホじゃない
(ちなみに言っとくと、二人の業界のスマホ普及率は98%以上!
体感では)。
      
事例その5:……アプリ??ワイハイ??
    
etc.etc.……
      
いや、もちろん、
たまにはそれらしいものに乗っかることもあります。
今年に入ってFACEBOOKを始めたり、とか。
でも少なくともFACEに関して言えば、半分は仕事のためであり
“あえて流行に身を投じてみた”という意識。
踊らされるんじゃなく、意識的に利用しているというか。
まあ、そういうことにしておいてください。
      
とそんなわけだから、このブログでも
今年の夏のヘビーローテーションは素麺とYES!
なんて素っ頓狂なことを書いたりするわけです。
      
こんなわが家にも正真正銘の“流行りもの”がやってきました。
それはタジン鍋。
とんがり帽子みたいなカタチしたアレです。
      
すみません。
流行りものは流行りものでもずいぶん前の流行でしたね。
まあ、いいじゃないですか。
      
なんたってこのタジン鍋、
じつはマリーンズ友達のK夫妻からいただいた品
(ありがとうございます)。
こちらのご夫妻、特に奥様は
世界中、しかも「フツー行かねーだろー」
という土地を旅してまわるコスモポリタン。
タジン鍋がブームだとか廃れたとか、
そんなことはちっちゃい日本の中だけの話。
もっと世界的な視点で選んでいただいたに違いありません。
モロッコあたりじゃ何百年(何千年?)も前から大ベストセラー。
そもそも“流行りもの”なんて書くこと自体、失礼でした。
ごめんなさい。
      
というわけで使い始めたタジン鍋。
これがやたら便利でびっくりなのであります。
      
蒸し料理はもちろん、ちょっとした煮込み料理もできます。
ちゃんとした料理以外にも
ちょっとジャガイモを茹でたい時にタジン鍋で蒸したり、
季節的にはトウモロコシを蒸したり。
お湯をわかす手間がかからないのがうれしい。
      
それこそブームの時は
「蒸し料理だけでしょ。無視無視。」てな感じでしたが(とほほ)
いざ使ってみると、思っていた以上に
いろいろなことができるので大活躍。
もう一つ、ものぐさ亭主的には
鍋のまま食卓に出せるのもポイント高し!
     
定番の豚バラ肉と野菜の蒸し物。













                         
もちろん魚もいけますし、ソーセージのグリルだって。
          
そして先日作ったのが……













                              
上にピーマンやらハーブやらのっかっているので
よくわかりませんが













                              
ロールキャベツ。
      
トマトソースで蒸し煮しました。
イタリアンパセリやコリアンダーなどハーブを利かせ、
そしてモロッコ料理に欠かせないという
クミンシードを少し練り込んでいます。
これを入れると一気に異国情緒満載。
う〜んモロッコ風。
実際にはチュニジア風も中東風も
区別はつかんのですが。
      
ついに作った! タジン鍋でロールキャベツ!
コレがホントの「モロッカン・ロール」!
      
……パートナーよ、すまん。
こないだの夕食をロールキャベツにしたわけは
ただこのダジャレが言いたかっただけなのだ。
まあ、わたしの立てる献立なんてこんなものです。
               
「モロッカン・ロール」。
言わずと知れたBrand Xのセカンド・アルバム。
北アフリカの民族音楽とロックン・ロールの融合!みたいなタイトルですが
中身はぜんぜん関係ありません。
いきなり1曲目がサンスクリットの歌とシタールの早弾きでインド風。
「Malaga Virgen」はスパニッシュだし。
確かにBrand X史上最もエキゾチックな雰囲気のあるアルバム。
でもどの辺がモロッコ?という疑問も。
しかも異国情緒だけにとどまらず
一発録りアドリブ大会やらプログレ的展開を見せる曲など
ハンパなくバラエティに富んだ内容です。
いつも言うけど、凡百のジャズ・フュージョン的
セッション垂れ流しとは一切無縁の音楽。
ある意味最もBrand Xらしいアルバムかも。

















                          
以前も書きましたがBrand Xの音楽って“ごった煮”なんですよ。
どこそこの民族音楽がどうだとかこうだとか、
へんな理屈こねるより、
楽しそうだから何でもやっちゃおうぜ、的なノリというか。
で結局タイトルが意味不明になっちゃったりする。
というか深く考えてないんでしょうね。
      
なんたって名前が「Brand X」。むりやり日本語にしたら「銘柄不明」。
これもおそらく何も考えないで付けた名前なんでしょう
(一説には、スタジオの機材リストに記載されていたのを
たまたま目にして決めちゃったのだとか)。
しかしこれがうまいことハマりました。
      
もう何やったっていいんです。
どんなタイプの曲やったっていいし
どのメンバーが抜けて誰が入ってきてもいいし。
だって「銘柄不明」。
守るべき“ブランド”が存在しないんですから。
      
事実、メンバーが入れ替わり立ち替わりしながら
いろんなタイプのアルバムを作っていきます。
正調JAZZROCKアルバムから
フィル・コリンズが歌うPOPナンバー入りのアルバムまで。
      
ただし。
モロッコ料理にクミンの香りが欠かせないように、
Brand Xに唯一欠かせないのが、
わが心の師パーシー・ジョーンズのベースでしょう。
私見に偏っているかもしれませんが、これだけは譲れないところです。
事実、Brand Xの歴史上彼が一曲も参加していないアルバムはありません。
ジョーンズがピリッとスパイスを利かせて、Brand Xと名乗るなら
あとは何をやってもBrand Xの音楽なのであります。
      
「Unorthodox Behaviour」から「Manifest Destiny 」まで。
編集版・海賊版も含めて。
フェイバリットはその時々の気分で変わったりしますが
それぞれに良さがあり、味わいがある。
      
わたしは全アルバム、一枚残らず、大好きです。
      
タジンも、Brand Xも、何でもアリ。
      
だからこそ、おもしろいのだ!
      
      
      
      

2011-08-18

ヘビーローテーション

      
「また物騒なところから名前持ってきたもんだなあ」と思ったのが
今や国民的アイドルとなったあのグループを初めて知ったときの感想。
『秋葉原』が語源とはつゆ知らず、当然の如く
旧ソ連の自動小銃『AK47』を連想してしまったわけですが、
今年の春ごろ「カチューシャ」なんて曲を耳にするに至って
個人的にやはりこれは確信犯であると認定。
カチューシャといえば
同じく旧ソ連軍の多連装ロケット砲のことじゃないですか(注1)。
      
実際、彼女たちのファンの中には
「アーカーべー」と発音する人もいるとかいないとか。
このあたりのオタク心をくすぐる小技までいちいち憎い。
いやはや、恐るべし。
      
おっと、べつに彼女たちのことが書きたいわけじゃありません。
わたし自身はキョンキョン以来時間がピタリと止まってしまった、
もはやアイドル不感症のおじさん。
語る資格もございません。
      
さてさて、ようやく本題。
ヘビーローテーションのはなしです。
      
それにしても連日暑い暑い日が続きます。
なんでも猛暑といわれた去年をも上回る暑さとか。
いくら夏は嫌いじゃないといっても
ただでさえ脂っこいものが苦手なお年頃。
さすがにのどを通るものも限られてきます。
      
そんな今の季節、わが家のヘビーローテーションは
ずばり素麺。
      
前振りが長かったわりにはおそろしく平凡な展開じゃねーか
とつっこんだあなた。
その平凡の中にこそ、凄みがあるというものですぞ。
      
子供の頃は「ええ〜? またソーメン〜」と
いつも母親にブータレたものでしたが、
この年齢になってつくづく感じる素麺のすばらしさ。
さらに作る側にまわってからは、よりいっそうその良さを実感します。
      
なんといってもうれしいのがゆで時間の圧倒的な短さ!
キッチンで汗だくにならずにすむのが本当にありがたい。
じつはこんなに料理人に優しい料理だったなんて
そりゃ、子供にゃわからんよなー。
      
しかもオール電化のご家庭なら電気代節約、
そうじゃないわが家でもキッチンが暑くならないから
エアコンの設定温度は高めでOK。
なんという省エネ料理。
東京電力は素麺に感謝すべし。
      
昔の人はこんな時代を予見していたのでしょうか。
いえいえ、今の時代が
昔のライフスタイルを必要としているでしょう。
子供の頃は平凡で飽き飽きしてたものが
今その価値を発揮する。
そんなものが他にもあるかもしれません。
      
もちろん、食べてもおいしい素麺。
さっぱりと食べたいときはさっぱりと。
食べ応えが欲しいときにはそれなりのアレンジも可能。
いろんな食べ方ができるので飽きません。
      
↓ 正統派から…













                              
↓ トマト素麺…

















                              
↓ ジャージャー麺風まで…

















                              
今日も素麺すすって先達の英知に感謝。
こんな時代だけど
日本人でよかったと思える数少ない瞬間ですな。
      
そしてじつはもう一つある
この夏のヘビーローテション。
      
こちらは英国の生んだ(ある意味)奇跡。
Yesの今年6月に出た新譜「Fly from Here」。

















                              
結成以来42年の長きに亘りプロレスのアングルの如く
離合集散内紛分裂加入脱退を繰り返し、
それでもなお不屈の精神でバンドを存続させる彼ら。
その名通りのポジティブ・シンキングの賜か。
今度はなんとジョン・アンダーソン不在&バグルズ組復帰で
「Drama」Yesの再現です。
なんというサービス精神!
Yes! We Can! はい!よろこんで!
       
というわけで
「Drama」信者でアンダーソン不要論者のわたしのようなファンを
ピンポイントでねらい打つ今回のアルバム。
断言しましょう。良いです!
      
90年代後半以降のここ数作は、
比較的アンダーソンの歌を中心にした楽曲が多く
どうも平板で印象の薄いものでした。
しかし今回は一転。
組曲形式の曲を核に据え、
アルバム全体を起伏のあるドラマチックな演出で聴かせます。
なんといっても、“「Drama」でやり残したことを成し遂げる”
という明確な目標があるので迷いがありません。
全盛期と同等、とまではいえませんが
過剰なアレンジや、スティーブ・ハウのギターも
“らしさ”が戻ってきました
(そう、今回は久々にハウが元気。
泣きのスティールギターに滂沱)。
      
確かにこの手法、今の耳で聴くには
アレンジはクサく音色は陳腐かもしれません。
それでも、これでもかと盛り上げ、音をぶち込み、
唯我独尊のリズム感で突っ走る。
これでこそYes。
      
洗練された歌ものなど誰も望んじゃいないのだ。
      
ちなみに今回ボーカルを務めるのは
“Journey Method”(注2)でひっぱってきた無名の新人
ベノワ・ディヴィッド。
でもJourneyの彼はクリソツでしたが
ベノワは驚くほど似てません。
      
曲調もトレバー・ホーン&ジェフ・ダウンズ組の書いたものなど
YesというよりどうしてもBugglesっぽい瞬間が
ちらちらと顔を覗かせます。
      
しかしそんなことは問題になりますまい。
Yesらしい熱い演奏があればそれはYes。
      
もうこのところ2ヵ月近く、休日ともなれば
まさにヘビーローテーション。
      
防音のため閉めきった部屋の中、
暑苦しい演奏にアンプの温度もぐんぐん上昇。
      
そしてもちろん、そんな時こそ食す素麺。
う〜んうまい!
      
日本人でよかった。プログレ者でよかった。
      
……結局、いつの間にかエアコンフル稼働。
先達のライフスタイルにはほど遠いわ……
      
      
      
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(注1)カチューシャ
わたしらぐらいの年代ならプラモでおなじみですね。
でも、なんてことないトラックの荷台に
発射台を載っけただけのその姿は
およそ子供の購買意欲を刺激するにはほど遠く、
模型屋の片隅にいつまでも売れ残っていましたが。
ただその箱の隅で燦然と輝く
Italeriのロゴがやけに眩しかったものです。
      
(注2)“Journey Method”
仲違いしたメンバーの代役をYouTubeで発掘、登用する手法。
Journeyが看板ボーカリストの代わりとして
無名のそっくりさんを抜擢して話題になったことから
わたしが勝手に命名。
しかしJourneyの場合そのあまりの激似ぶりに
過去を引きずりすぎとの批判も……
      
ちなみに、今回のアルバムに収録されている組曲は
「Drama」時代の没曲を発展させたもの。
そりゃあ昔の雰囲気も出るわけです。
セルフ・カバーは誰でもやってるけど、
過去のアイデアを出発点にアルバムまるまる1枚
作っちゃったってのは他に例がないのでは?
こちらはいわば“Yes Method”。
手っ取り早く全盛期のファンにもアピール!
今後安易に乱用されそうな予感……(曲が良ければ許すけど)
じつはパンドラの箱だった?
      
      
      
      

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