2011-05-18

京葉線・ぶらり途中下車の旅

      
      
ナレーター(滝口順平さんの声を想像してください。以下ナ)
 「さてさて、今日の旅人はえーわんさんご夫婦ですねぇ〜。
  いったいどこへ行くんですかぁ〜」
えーわん(以下え)「今日はすばらしい天気に恵まれたんで、
  京葉線に乗って旅したいと思います!」
パートナー(以下パ)「ほんと、ゴールデンウイーク初日に相応しい天気だね!」
ナ「ゴールデンウイークって…… アップまでずいぶん間が空きましたね……」
え「ま、まあいいじゃないですか。いつものことだし。
  細かいことは気にしないで、レッツゴー!」
     
      
      
ナ「……それにしても、東京駅からずっと乗りっぱなしなんですが……」
え「………」
ナ「あ、寝てる! ちょっと〜、起きてくださいよぉ〜!」
え「あぁ、すいません。」
ナ「すいませんじゃないですよ〜。
  途中下車してもらわないと番組にならないじゃないですか〜。」
え「え? 途中下車なんかしませんよ。」
パ「そうそう! だって今日はQVCマリンフィールドで今季初観戦するんだから!」
ナ「QVCマリンって、去年まで千葉マリンスタジアムだったとこですかぁ?」
え「よく知ってるじゃない。その通り。
  ってことでまだまだ先だから、もうちょっと寝かせてよ。……くか〜」
ナ「しょ〜がないですねぇ〜。
  目的地がはっきりしてたら“ぶらり旅”じゃないんですけどねぇ。」
パ「とかいっちゃって! いつも台本通りのくせに!」
ナ「あひゃ〜、それはいわない約束ですよぉ〜。」
      
      
      
ナ「やっと海浜幕張に着きましたね〜。
  試合開始の1時にはまだちょっと時間がありますから、
  このへんで腹ごしらえですかぁ〜。」
え「球場直行!」
ナ「へ? だって途中下車したらそこでグルメを紹介するのがお約束ですよぉ〜」
え「今日は早起きして弁当作ってきたから、店に寄る必要なし!
  じつはそのせいで眠かったんだけどね。」
パ「このためにわざわざお弁当箱まで買っちゃって。気合い入ってたよね!」
え「でもそんなに凝ったものは作ってないけど。
  トマトとペペロナータのアンチョビマリネにポテサラ、
  手羽先のオーブン焼きナンプラー風味にシンプルなニンジンサラダ。
  ちょっと前に、奮発して少々お高いオリーブオイルと
  赤ワインビネガー買ったんだよね。
  だから今日一番の自信作は、じつをいうとこのニンジンサラダ……」
ナ「料理自慢はいいですから。球場にだっていろいろグルメがあるでしょうに。
  ラーメンの『ちば魂』や『ロッテリア』の絶品チーズバーガー、
  『パパス&ロコス』のメキシカンフードとか……」
え「なんだ、もう十分知ってるじゃない。
  っていうかわたしら、そのどれも一度も食べたことないんだけど。」
パ「球場で食べるっていったら、いつも枝豆と焼きそばだよね!」
え「フードコートの煮込みもうまいぞ。」
ナ「やれやれ…… そんなんでよく食べ物のブログなんかやってますねぇ〜。」
      
      
     
↓ まあ、いつも作ってる定番料理です。













                              
↓ 夏のような一日でした。













                                         
え「空は快晴!試合は快勝!(ちょっと危なかったけど)
  いやあー、今日は最高だったね!」
ナ「(結局この人たち、球場ではビールとコーラしか買わなかったよ……)
  まさか、このまま家に帰っちゃうんじゃないでしょうねぇ。」
パ「今日はこれから、わたしのハワイ大好き仲間と舞浜で落ち合うのよ!」
ナ「ほほぉ〜、やっと途中下車の旅らしくなってきましたねぇ〜。
  行って帰るだけじゃただの旅ですからね、ただの旅。
  で、舞浜では何するんですか〜?」
え「(ただの旅でいいじゃんか)
  なんでもイクスピアリでライブがあるっていうんだよ。」
ナ「プログレだったら行きませんよ。」
パ「まさか! マノアDNAっていうハワイのミュージシャンよ。
  南国の風のようにさわやかよー! プログレと違って!」
ナ「いいですねぇ〜。こりゃ楽しみだぁ〜。早く行きましょ!」
え「きみたちねぇ……」
        
      
      
パ「え〜と、この辺のはずなんだけど。」
え「迷った。完全に迷った。」
ナ「まさかイクスピアリの中で迷子になるなんて……
  歴代の旅人さんたちは、みんな驚異的な方向感覚で
  お店なんかたちどころに見つけちゃうんですけどねぇ〜。」
え「だからそれは……」
パ「だめだわ! 電話して迎えに来てもらいましょ!」
ナ「まったく、だれですか、こんな人たちをキャスティングしたのは〜。」
      
      
      
ナ「ライブも楽しかったし食事とお酒も堪能したし良かったですねぇ〜。」
え「わたしだってプログレばかり聴いてるわけではないのだよ。」
ナ「ってあなた、奥様に付いて来ただけじゃないですか。
  ところで、ライブの写真とかはないんですかぁ?」
え「撮ってないよ。」
ナ「なんで撮らないんですか〜。絵がなきゃブログになりませんよ〜。」
パ「ねえねえ! 何をもたもたしてるの!」
ナ「いえね、えーわんさんが写真撮ってないっていうんですよぉ。」
パ「しょうがないわね! わたしが撮ったからそれでも上げなさい!」














                              
ナ「うひょぉ〜。楽しそうな感じが良く出てますね〜。さすが奥様〜。
  ところで、お仲間の方も皆さんそろって、どこかに移動ですかぁ〜?」
パ「ちょっとお腹も物足りないし時間もまだあるから、もう一軒行こうって。
  Hさんのよく知ってる店が八丁堀にあるんですって!」
ナ「5駅先の八丁堀で途中下車ですね。えーわんさん、今度は頼みますよ〜。
  いい絵ばっちり押さえてくださいよぉ〜。」
え「うるさいなもう……」
      
      
      
ナ「ビストロ ガール・ド・リヨン……
  ここがHさんイチオシのお店ですかぁ〜。雰囲気ありますねぇ〜。」
え「パリの小粋な食堂っていう感じだね。本当は予約困難の超人気店らしいよ。」
ナ「(パリなんて行ったことないくせに)じゃあ、今日は運が良かったんですね〜。」
パ「Hさんのおかげよ。常連なんだから!」
え「料理は決して洗練された感じじゃないけど、Hさんのいうとおり、
  うまいしボリュームあるし、混むのも納得だね。」
ナ「そういうHさんは何も召し上がってませんが、どうかしたんですかぁ?」
パ「通ってるスポーツジムでやってる体脂肪率コンテストの計量が
  明日なんですって!」
ナ「少しくらいダメなんでしょうか〜。ものすごい鉄の意志ですね〜。
  でもたしか、Hさんはお二人の結婚パーティーの司会をしてくれた方ですよね。
  それも当日その場でお願いして(むちゃくちゃだなぁ)。
  そんな“恩人”が必死に頑張ってる目の前で、
  よくもまあ、そんなにばくばく食べられますねぇ〜。」
え「いやあー、ソーセージもサラダもビーフシチューもどれもうまいわー。
  付け合わせのニンジンサラダ、うちのともちょっと違って、勉強になるなー。」
ナ「だめだこりゃ。……あ、そうそう、思い出した。
  えーわんさん、写真ですよ写真! 料理を撮らないと!」
え「んー? まだ憶えてたの? 
  正直いうけど、店でばしゃばしゃ写真撮るのって嫌いなんだよ。
  料理なんか特にそうだけど、タイミングが大事だったりするわけじゃん。
  例えばサービスされた瞬間が料理をいただく一番のタイミングだろうし。
  そんな大切な瞬間を、写真撮ることで逃しちゃうのって
  自分にとってももったいないし、お店の人に対して失礼だと思わない?」
ナ「何をえらそうなこといってるんですかぁ〜。
  写真もなく文章ばっかりだらだらと長ったらしいから、
  このブログ、だれも読んでくれないんですよぉ〜。」
パ「……原因はそれだけじゃないけど!」
ナ「とにかく、この途中下車企画も今回限りにさせてもらいますよぉ!
  もう二度とごめんですからねぇ〜!」
      
      
      
     

2011-05-02

Rendezvous 6:15

      
      
時は4月15日PM6時15分。
川崎駅改札にて落ち合った
もはやおなじみ、われらプログレ・ブラザーズ。
      
この日われわれに課せられたミッション、それは
70年代末にこの日本でも絶大な人気を誇った
英国プログレッシブ・ロック最後の徒花、
UKのリユニオン・コンサートを目撃することであります。
行って参りましたよ。
今やプログレの聖地といってもいいかもしれません
川崎クラブチッタ!













                              
振り返れば…
ここに至るまでの道程は長かった。
      
そもそも再結成の噂があったのは90年代中頃でしたかね。
その時は実際にレコーディングも進んでいたとか。
      
当時ジョン・ウェットンはソロとして活発に活動していた頃で、
わたしもアルバムは欠かさず買っていたし、来日すればライブにも行きました。
しかし本人の資質からか
ソロ・アルバムはプログレとは呼べないAOR的な内容。
ライブではUKはじめキング・クリムゾンやらASIAやらの代表曲を惜しみなく披露も、
どーにも“往年の大物歌手がドサ廻りしてる感”漂ってしまうのがやるせない。
どちらも悪くない、悪くないんですが、やっぱり物足りない、
いわば、“プログレするウェットン”に飢えていた、
ちょうどそんな時に持ち上がったUK復活の報だったんですね。
      
業界の裏方(?)に甘んじていた相方のエディ・ジョブソンも
なんかやる気出してるみたいだし、
これは期待するなという方がムリというもの。
しかし新作を今か今かと待ち続けるも一向に出る気配がありません。
その後も何事もなかいかのように続々とソロアルバムを出し続けるウェットン。
あげくはスティーブ・ハケットとGENESISナンバー演ってみたり。
他にやることあるだろ!とどのくらいの人がつっこんだことか
(それでもホイホイ観に行くところが悲しい)。
      
そうこうしてるうちウェットンのASIA参加などもありつつ
いつのまにか干支が一回り。
      
もうUK復活なんてだ〜れも考えてなかった2007年、
今度はジョブソンが動き出します。
自身のバンドUKZを立ち上げ。
UKをひじょーに意識したバンド名ですが
逆に“これでUK復活は確実になくなった”と確信しました。
ウェットンがすでにASIAの一員としても、ジョブソンがフリーなら
まだ万に一つUKへの道はあったかもしれません。
しかしジョブソンも自らのバンドを作ったとなると
もう二人が組むことは(少なくとも当分の間は)ない。
いくら名前が似ていても、ジョブソン一人では(同様にウェットン一人でも)
UKにはならないのです。
ライブではUKやKCの曲を演ったそうですが、わたしは未見。
このバンドにはむしろ過去にとらわれないNEWバンドとして期待していました。
そういう意味でも、その後派生したU-Z Projectにも落胆。
これってただの懐メロバンドじゃん……
      
しかしそこで潮目が変わってきます。
ポーランドでのライブに、ゲスト扱いとはいえウェットンが参加。
そうなると話が違ってくるからファンとは勝手なもの。
昨年11月には一部その時の様子も収めたライブ・アルバムも発売されました。
なんだかんだいって懐古的な自分ってどうなのよ?と思いつつ
だけどこの二人の共演を無視できない。
アルバム買おうか買うまいか、
そんなオヤジごころゆらゆら揺らめいてる最中に
突然発表されたUK再結成・緊急来日のニュース。
      
あまりにも突然だったのでチッタのメルマガに一瞬目を疑いました。
いや〜、びっくりしましたね〜。
しかしタイミング的にはどんぴしゃ。
結果的にU-Z Projectが絶好のプロモーションになったわけですね。
驚きは期待感に変わります。
このライブはなんとしても行かなければ!
      
と、ふつうならこのまま特筆することもなくライブ当日を迎えるわけですが
今回のミッション、ここからが一苦労。
      
まずはチケット争奪戦。
      
先行発売初日、新宿ディスクユニオンに向かうと
そこにはなにやら人だかりが。
はて、(近くの)BEAMSでバーゲンでもあるのかいなと近づくと
それにしては年齢層に違和感ありすぎ(笑)。
まさか……と思う視線の先で
行列がディスクユニオンへと消えていくじゃないですか。
プログレのチケット販売では初めて見る光景です。
あらためて思い知るUK人気の高さ。
そういえば、わたしらが高校生くらいの頃は
UKとか普通にFMで流れていたもんなあ……
どうせプログレ、とひとくくりにしていたわたしが甘かった。
もっと早く家を出るべきだったと後悔しても後の祭り。
残念ながら希望する土曜日のチケットは
わたしの遙か前で完売してしまいました。
それでも金曜日の席がゲットできたのはまだ幸運だったようですね。
その後の抽選発売も落選者続出の様子。
一般発売はもちろん瞬殺。
プログレ界(そんなもんあんのか)的には
ちょっとしたUKフィーバーが吹き荒れました。
まあ、はっきりいってハコが小さすぎたってことなんですが、
呼んでもらって文句はいえませんわな。
      
ようやくチケットも手に入れあとは当日を待つだけ〜
と安心したのもつかの間、3月11日、あの大震災が日本を襲います。
      
今年のプロ野球、わがマリーンズの開幕は仙台で対楽天戦。
じつは3月26日からのKスタ3試合、チケット購入済でした。
しかしそれどころではなくなってしまったのはご存知の通り。
UKと相前後して来日する予定だった
ホークウインドやアレアも早々に中止を決定しました。
御大ジミー・ペイジも来日取り止め。
彼のトークショーの会場は長崎。
英国政府から渡日自粛の勧告が出ていたとはいえ、この用心深さ……
      
しかしこればかりはいたしかたありません。
わたしも半ば覚悟していました。
いつUK公演中止のメールが来るのかと……
      
しかし、こんな時こそ立ち上がるのが憂国の四士!いやニ士!
しかも片方は
日本語の決めぜりふをかまし続けて30余年のウェットンです。
ブリティッシュ・ロック界随一の演歌の男です。
彼らは約束通りやってきました。
      
いろんな事を乗り越えて迎えたライブ当日。
もう、二人が同じステージに立っている姿が拝めさえすれば
あとは何もいいますまい。
なんといっても2人とも若くないんですから。
予習のためこの1ヵ月聴きまくった
70年代に録音されたブートのような脂ののりきったパフォーマンスは
望むべくもありません。
特に今世紀に入ってからのウェットンについては
一時かなりの酷評も耳にしましたしね。
      
ところがどっこい、演奏が始まってすぐに
そんな杞憂は吹き飛びました。
いきなり「In The Dead Of Night」「By The Light Of Day」
「Presto Vivace And Reprise」をイッキ演奏。
全員テンション高い高い。
ウェットンの声も想像以上によく出ています。
むしろソロの時より迫力が増してるかも。
あのでかくなった腹で増幅させているのか?
ジョブソンも相変わらずのテクニシャンぶり。
70年代のライブだってここまでスタジオ・バージョンに
忠実じゃなかったぞ!?というアレンジを難なくこなします。
必殺の透明バイオリンも健在!
一歩間違えばイタイことになりそうな
ファンタジックなルックスのこの楽器。
それを貴公子と呼ばれた30年前同様
なんの違和感もなく使いこなしてしまうとはさすがです!
      
そしてその二人以上に驚いたのが、マルコ・ミネマンのドラム。
かなりのテクニシャンらしいということは聞いていましたが
実際にプレイを聴くのはこの日が初めて。
テクニックもさることながら、こんなにもパワフルだったとは……。
      
わたし、ブラッフォード先生
(ホントはブルッフォードといわないと怒られますが)は大好きで、
参加アルバムは欠かさず買いまくる追っかけです。
でもUKだけはテリー・ボジオに一票!なんですよね。
わたしが思うUKの最高傑作は3人期のブート。
キーボードを中心としながら、ギターの抜けた穴を
ベースとドラムの手数&パワーでカバー、
カバーどころか倍返しでキーボードと三つ巴のバトルを展開、
〜なんていう演奏がUKの楽曲には合ってるような気がします。
というわけで
怒濤の弾幕を張りまくるミネマンのドラムは
わたし的には大歓迎。
      
少しだけ残念だったのは
ギターのアレックス・マカチェク。
あまりにもアラン・ホールズワースを意識しすぎたせいか
ちょっと精彩を欠いていました。
ソロ・アルバムではバリバリ弾き倒してますし
実力はあんなものじゃないと思うんですが……
ただもともとのバンドでもホールズワースは居場所なさげですしね
(そう、わたしは“UKにギターはいらない派”)。
それでもジョブソンがバイオリンに持ち替える時の空白を埋めたり、
ベースをユニゾンでサポートしたり
(ウェットンのベース、さすがに往年の迫力はなくなりましたね……)、
脇役としてしっかり演奏を支えていました。
      
演奏はたっぷり2時間以上。
サックスの代わりにバイオリンが入る「Starless」や
ブラッフォードの「Sahara Of Snow part2」も演ったりしてサービス満点。
もちろん、79年初来日以来のウェットンのオハコ、
「キミタチサイコダヨ!」も炸裂。
アンコールの時には今や伝説のUKコールも巻き起こりました。
アンコールはしっかり3曲。
オーラスはジョブソンのエレピのみの伴奏で
ウェットンが情感たっぷりに「Rendezvous 6:02」を歌い上げました。
正規版、ブート、ウェットンのソロ・ライブと
今までいろんなバージョンのRendezvousを聴いてきましたが
わたしの中ではこの日の歌唱が最高のものになりました。
      
次はぜひともこのメンツで新作を!と欲求は高まるばかり。
しかしお互いの活動もある中、これは叶わぬ願いでしょうか。
新作を出してこその“現役バンド”だと思うのですが。
ただそれはそれとして、
この日のライブ自体は想像を遙かに超えた大満足のライブ。
いろんな事が起きている今の日本に来てくれて、
心から感謝感謝のわたしとYさんなのでありました。
      
……じつはわたしたちも、ライブ前の腹ごしらえに
ラゾーナ川崎でぴょんぴょん舎の盛岡冷麺を。
祈、復興。
      
      
      
      

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