2011-07-31

BYE, BYE, BYE, Jellyfish

      
      
1994年、八木沢荘六が千葉ロッテマリーンズの
監督を辞するときに言った言葉が印象に残っています。
      
「(チーム成績を引き上げることはできなかったが)
伊良部秀輝を開花させられたことはよかった。」
      
チーム全体をマネジメントしなければいけない立場の人間が、
それも、惨憺たる結果の責任を取って辞めますという席で
言うようなことではないかもしれません。
      
しかもその言葉を放ったときの彼の顔が、
わたしには安堵感に包まれているかように見えたのです。
      
マリーンズいや球界の宝となるべき
巨大な才能を育て上げることこそ自分に課せられた使命であり、
それを成し遂げられて心からほっとしている──
そんな表情に見えました。
      
まるで辞任会見には似合わない表情。
むしろチームの低迷など、伊良部秀輝の成長という
大事の前では些細なことに過ぎないかのような……
      
勝てなかった監督に対する怒り、
しかし憎めない八木沢という人間の人の良さ、
伊良部秀輝というピッチャーに対する憧憬と期待。
      
この言葉を思い出すとき、
心の中にはいろいろな感情が入り交じります。
      
そしてこれからは
胸の詰まる思いとともに思い起こすことになるでしょう。
     
結局、その有り余る才能も
今ひとつ本人自身がもてあましたまま
逝ってしまった伊良部秀輝。
      
才能ばかりでなく、自分の性格や感情までも
もてあましてしまったのでしょうか。
      
残念でなりません。
冥福を祈ります。
      






















                       
↑ このはにかんだ笑顔を見ると泣けてくる。
 多くの人が言うとおり、悪童のイメージは
 照れ屋で繊細な性格の裏返しだったんだと思う。
 野球に関しても、そのダイナミックなスタイルとは裏腹に
 非常に研究熱心で投球メカニズムを緻密に考え抜くタイプだったとか。
 また、野球の話を始めたら朝まで熱く語る人だったとも。
 もしかしたら指導者としての才能も……
 そう考えると、なおのこと無念。
      
      
      
      

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