2011-01-17

原点への旅路。─その1─

      
      
本来なら、年末年始こそネタの宝庫、
忘年会やらクリスマスやら初詣やら新年会やら
ブログを更新するには絶好の時期のはずなんですが、
ちょっとバタバタするとまったく作文できなくなる文才のなさ。
加えて未だに出先で写真を撮る習慣が身に付かないやる気のなさ。
というわけでこのへんの出来事はざっくりスルーでごめんなさい。
忘年会・新年会でお世話になった方、お宅に呼んでくれた方々、
ありがとうございました。
      
ただ、いろいろなイベントがあったなかでも
一つあげるとするなら、
“ハワイV旅行”ならぬ“東日本V字旅行”。
もちろん何かのご褒美でぬくぬく南国で過ごすのとはえらい違い。
大晦日に東京を出発し、寒風吹きすさぶパートナーの故郷・八戸で一泊、
翌元旦に大宮まで引き返しその足で怒濤空打つわたしの故郷・新潟へ向かい二泊、
ちょうど東日本を縦断&横断して東京に帰ってくるという
JRが泣いて喜ぶ旅程にして強行軍。
東北と北陸の寒さの違いをあらためて体感(したくないっ)。
フトコロ的にも波浪警報発令で
まあ、来年以降行われることはないでしょう。
      
それでもお互いの実家を行き来し、
それぞれの郷土料理を堪能できたのはありがたいことです。
八戸ではウニ&アワビ満載のいちご煮。
新潟ではのっぺ。
      
ほんとはこれらも写真で紹介できると良いのですが
前述の通り写真撮るのも忘れてがっつくのみだったわたし。
これじゃちょっとブログにならんな、というわけで
我が家で再現しました。
ただし予算の都合上、いちご煮はまたの機会ってことでご勘弁を。













                         
のっぺの作り方(いつも作ってる量)
①塩鮭(辛塩・一切れ)を塩抜きしておく。
 甘塩を使ってもいいですが、
 甘塩といえどかなりのっぺの味を変えてしまうので
 味付けがむずかしくなります。
 できれば辛塩を一晩ほど塩水につけて塩抜きしておくと
 塩辛さもちょうど良く同時に生臭みも取れるので
 美味しくできると思います。
②どんこ4〜5個・干し貝柱5〜6個を水で戻す。
③鰹でだしを取る(約800cc)。
④ギンナンを煎って殻をむいておく(15個くらい)。
⑤里芋(大きめ3コ)、にんじん(1本)、タケノコ(水煮・大きめ1/2)、
 蒲鉾1/2本、こんにゃく(1/2枚・アク抜きする)をすべて短冊に切る。
 大きさはお好みですが、わが家は4cm×1.5cmくらい。
 里芋は煮くずれしやすいのでやや大きめ&厚めに、
 蒲鉾は煮ると膨らむのでやや小振りに。
 できれば新潟の五泉で採れる帛乙女(きぬおとめ)という里芋だと完璧。
 くずれにくくほくほくしておいしいのです。
 どんこは細切り、鮭は小さめの一口大に切る。
⑥里芋はさっと熱湯で洗いぬめりをある程度取っておく。
 ただしこの“ある程度”というのがキモで、
 里芋のぬめりで汁にとろみを付けるので洗いすぎないように注意。
      
ここまでが下ごしらえ。あとは煮るだけですがポイントは時間差です。
      
⑦だし汁が湧いたらニンジン、タケノコ、こんにゃく、どんこを入れる。
 どんこの戻し汁、干し貝柱の戻し汁も加え、
 酒(大さじ3)、味醂(大さじ3)、塩、醤油で味付け。
 醤油はうすく色が付く程度の少量(小さじ1強ぐらい)。
 塩は基本薄味に仕上げますが、最後に塩鮭を入れるので
 その塩分を計算してさらに薄めにしておきます。
⑧ニンジンに6〜7割ほど火が通ったら里芋、鮭を投入。
 里芋が煮える少し前に蒲鉾、銀杏を入れます。
 里芋を入れると吹きこぼれやすくなるので注意。
 ふたを取ったまま煮てもOKです。
 とにかく煮すぎないように。
 材料を小さく切ってあるのであっというまに火が通ります。
⑨里芋が煮えたら火を止め、干し貝柱をほぐして散らす。
 お好みで生いくら(塩漬け・醤油漬けはNG)を入れてもいいです。
 ちなみにこの場合、わざといくらを加熱します(余熱で)。
 白く半過熱状態になったいくらを“ととまめ”といって、
 少し硬くなった食感がまたいいんですが、これって新潟だけでしょうか?
⑩そのままふたをして冷まします。
 加熱時間も短く薄味なのっぺは、この段階ではあまり味が染みてません。
 一度冷ますことによっていろいろな素材の味が
 お互いに染みわたっていきます。
 食べるときは、冷えたままでもよし、暖め直してもよし。
 お好みでどうぞ。
      
以上がわが家ののっぺのレシピ。
というかもともとはわたしの母から教わった作り方です。
      
こののっぺ、郷土料理にはありがちで
家庭によって材料や作り方がぜんぜん違う。
わたしにとって母親の作ったものこそがのっぺ。
「新潟に帰ってきたな〜」としみじみ実感できるのは
母親ののっぺを食べた瞬間なんですね。
ただ、母親ももうけっこうな歳。まだまだ元気ではありますが
いつ何時もしものことがあるやもしれません。
「母親にもしものことがあったらもうこののっぺが食べられなくなってしまう!」
と、母が聞いたら嘆くこと必至の
なんとも身勝手な危機感をいだいたのが今から3年ほど前。
そんな理由で教わったのがこのレシピです。
      
そしてじつは、これがわたしが料理を始めるきっかけになります。
レシピに従って作ったのっぺで料理を作る楽しさに目覚め、今日に至る……。
子供の頃から食べていた一つの料理が、
いい歳した人間をがらっと変えてしまたわけです。
      
まさに、いろいろな意味でのわたしの原点、それが“のっぺ”!
      
……語感的にはもうちょっとなんとかならなかったかと
思わないでもないけどね。
      
      
      
      

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